御梳櫛などには懸想 末摘花09章02
原文 読み 意味
御梳櫛などには 懸想だつ筋なく 心やすきものの さすがにのたまひたはぶれなどして 使ひならしたまへれば 召しなき時も 聞こゆべき事ある折は 参う上りけり
06132/難易度:☆☆☆
みけづりぐし/など/に/は けさうだつ/すぢ/なく こころやすき/ものの さすがに/のたまひ/たはぶれ/など/し/て つかひ/ならし/たまへ/れ/ば めし/なき/とき/も きこゆ/べき/こと/ある/をり/は まうのぼり/けり
君の御髪の手入れなどには、恋愛じみた感情ではなく気安さから、といって艶っぽい冗談をおっしゃったりなどもしながら、この女房を長くお使いになっていらしたので、君からのお召しがない時でも、何か申し上げる事柄がある際には、君のもとへ参上するのだった。
御梳櫛などには 懸想だつ筋なく 心やすきものの さすがにのたまひたはぶれなどして 使ひならしたまへれば 召しなき時も 聞こゆべき事ある折は 参う上りけり
大構造と係り受け
古語探訪
懸想だつ筋なく 06132
光の気持ちとして恋愛感情はないとの意味。命婦の方は、そうではないところが、思わせぶりな態度として出て来るのである。
さすがに 06132
そうではあっても、しかしながらという逆接。「心やすきもののさすがに……」ではない。気安さからは冗談口をたたくのは自然である。「懸想だつ筋なく心やすきもののさすがに……」と考え、恋愛感情はなく気安いからこの命婦を使うのだが、かといって、エッチな冗談も言いながら使うという流れ。