あらず寒き霜朝に掻 末摘花09章17
原文 読み 意味
あらず 寒き霜朝に 掻練好める花の色あひや見えつらむ 御つづしり歌のいとほしき と言へば あながちなる御ことかな このなかには にほへる鼻もなかめり 左近の命婦 肥後の采女や混じらひつらむ など 心も得ず言ひしろふ
06147/難易度:☆☆☆
あら/ず さむき/しもあさ/に かいねり/このめ/る/はな/の/いろあひ/や/みエ/つ/らむ おほむ-つづしり/うた/の/いとほしき と/いへ/ば あながち/なる/おほむ-こと/かな この/なか/に/は にほへ/る/はな/も/なか/めり さこんのみやうぶ ひごのうねべ/や/まじらひ/つ/らむ など こころ/も/え/ず/いひ/しろふ
何でもないわ。寒い霜の朝に、掻練に好まれるハナの色合いでも見えたのでょう。途切れ途切れの歌は気にはなrけど、と言うと、無理な言い抜けね、このなかには、そんな鼻の色をした女房はいないわよ。左近の命婦か肥後の采女でも、いるみたいじゃないのなど、要領を得ず言い立てる。
あらず 寒き霜朝に 掻練好める花の色あひや見えつらむ 御つづしり歌のいとほしき と言へば あながちなる御ことかな このなかには にほへる鼻もなかめり 左近の命婦 肥後の采女や混じらひつらむ など 心も得ず言ひしろふ
大構造と係り受け
古語探訪
掻練好める 06147
「掻練が好きな」など、「掻練」を「好める」の対象に考える通釈が一般的だが、「掻練」において一般に好まれる色と考える方が、状況として自然であろう。「掻練を好む」と急に言われたら、鼻の色より、先にどこに「掻練を好む女房がいるの」と、話の焦点が変わってしまう。
いとほしき 06147
ここでは、気にかかる程度の意味。
つづしり 0614
言葉をとぎれとぎれに口にすること。「ただ梅の花の色のごと 三笠の山のをとめをば捨てて」の歌を指す。
言ひしろふ 06147
言い合う。「しろふ」は「あへり/06146」に同じ。