花のとがめをなほあ 末摘花09章11

2021-05-14

原文 読み 意味

花のとがめを なほあるやうあらむと 思ひ合はする折々の 月影などを いとほしきものから をかしう思ひなりぬ

06141/難易度:☆☆☆

はな/の/とがめ/を なほ/ある/やう/あら/む/と おもひ/あはする/をりをり/の つきかげ/など/を いとほしき/ものから をかしう/おもひ/なり/ぬ

花をお咎めになるのは、やはり理由のあることだろうと考えてみると、思い合わされたのは折々に月明かりで見かけた姫君のご様子で、気の毒に思いながらもおかしみがこみ上げてくるのだった。

花のとがめを なほあるやうあらむと 思ひ合はする折々の 月影などを いとほしきものから をかしう思ひなりぬ

大構造と係り受け

古語探訪

花のとがめ 06141

「の」は目的格で、光源氏が花をとがめること。花は紅花(末摘花)。

なほ 06141

「直」が原義。まっすぐつきすすむこと。光源氏が紅花を非難する理由は不明ながら、それなりの理由があるのだろうと、ぶれずに考え続けると、思い合わされることに気付いたという感覚。

あるやう 06141

「有り様」からの変化。事情。わけ。

月影など 06141

月光下に見かけた末摘花の鼻の色。

いとほしき 06141

心を痛めるが原義。気の毒に思うなど。

ものから 06141

逆接を表す。…ものの。

思ひなりぬ 06141

「なる」は変化。「いとほし」から「をかし」に感情が変化したことを指す。「ぬ」は動作の完了。

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