古代のゆゑづきたる 末摘花08章12
原文 読み 意味
古代のゆゑづきたる御装束なれど なほ若やかなる女の御よそひには 似げなうおどろおどろしきこと いともてはやされたり されど げに この皮なうて はた 寒からましと見ゆる御顔ざまなるを 心苦しと見たまふ
06118/難易度:☆☆☆
こたい/の/ゆゑづき/たる/おほむ-さうぞく/なれ/ど なほ/わかやか/なる/をむな/の/おほむ-よそひ/に/は にげなう/おどろおどろしき/こと いと/もて-はやさ/れ/たり されど げに この/かは/なう/て はた さむから/まし/と/みゆる/おほむ-かほさま/なる/を こころぐるし/と/み/たまふ
古式に則った風の御装束ながら、若やかな女の御服装には似つかぬものものしい感じは、とても目立っている。そうではあっても、なるほど、この毛皮がなくては、たしかに、寒かろうと思われる顔色でいらっしゃるのを、気の毒なことだとごらんになる。
古代のゆゑづきたる御装束なれど なほ若やかなる女の御よそひには 似げなうおどろおどろしきこと いともてはやされたり されど げに この皮なうて はた 寒からましと見ゆる御顔ざまなるを 心苦しと見たまふ
大構造と係り受け
古語探訪
げに 06118
「あはれさも寒き年かな……」という女房たちの嘆きをうけて、なるほどそうかとの意味。
はた 06118
又の意味でなく、意味を強調する。たしかに。
御顔ざま 06118
蒼白い顔色から、寒いのであろう想像する。