頭つき髪のかかりは 末摘花08章10
原文 読み 意味
頭つき 髪のかかりはしも うつくしげにめでたしと思ひきこゆる人びとにも をさをさ劣るまじう 袿の裾にたまりて引かれたるほど 一尺ばかりあまりたらむと見ゆ
06116/難易度:☆☆☆
かしらつき かみ/の/かかり/は/しも うつくしげ/に/めでたし/と/おもひ/きこゆる/ひとびと/に/も をさをさ/おとる/まじう うちき/の/すそ/に/たまり/て/ひか/れ/たる/ほど いち/さく/ばかり/あまり/たら/む/と/みゆ
頭の形、髪が装束にかかっている様子こそは、美しいお方であると愛情をお注ぎ申し上げになっておられる方々にも、けっして劣りそうになく、袿の裾にたまって引っ張られている感じでは、一尺くらい髪が余っていそうに見える。
頭つき 髪のかかりはしも うつくしげにめでたしと思ひきこゆる人びとにも をさをさ劣るまじう 袿の裾にたまりて引かれたるほど 一尺ばかりあまりたらむと見ゆ
大構造と係り受け
古語探訪
髪のかかり 06116
髪と衣装との対比の妙。髪だけをあらわすのではない。
袿 06116
着。その裾に髪がとぐろを巻いた風にたまっているのが、一尺くらいあるだろうということ。髪は長ければ長いほど、当時の感覚では美人なのだ。おそらく、髪を長くしていられるのは、何もしないからで、それだけかわいがられて育てられている、つまり、お嬢様育ち、家柄がよいということなのだろう。それが美的感覚と一体化したのではないかと思う。