御達四五人ゐたり御 末摘花07章03
目次
原文 読み 意味
御達四 五人ゐたり 御台 秘色やうの唐土のものなれど 人悪ろきに 何のくさはひもなくあはれげなる まかでて人びと食ふ
06098/難易度:☆☆☆
ごたち/し ごにん/ゐ/たり みだい ひそく/やう/の/もろこし/の/もの/なれ/ど ひとわろき/に なに/の/くさはひ/も/なく/あはれげ/なる まかで/て/ひとびと/くふ
女房たちが四五人いた。御膳は青磁のような唐製の品物だけれど古くさく見た目が悪い上に、何の惣菜もなく哀れげな、姫からの下がり物をみな食べている。
御達四 五人ゐたり 御台 秘色やうの唐土のものなれど 人悪ろきに 何のくさはひもなくあはれげなる まかでて人びと食ふ
大構造と係り受け
古語探訪
御台 06098
御膳。
秘色 06098
庶民には使用できないものであるとされる青磁のこと。
人悪ろき 06098
人目に悪い、不格好、不体裁の意味。品物そのものはよいが古くさい。これも、この家全体の隠喩となっている。「人わろきに」の「に」は添加、その上にの意味。この「に」は意外と多い用法であるので、留意したい。理由や逆接ととってしまう場合でも、添加と考える方がスムースであることが多い。なぜなら、添加は意味的には順接でも逆接でも通るため、順接か逆接かに限定しなくてすむ便利さがあり、またどちらかに限定しえないケースが多いからだ。
くさはひ 06098
種類や材料をいい、ここは食材、食品をいう。
まかでて 06098
姫からのお下がり。