かしこには文をだに 末摘花06章05
目次
原文 読み 意味
かしこには 文をだにと いとほしく思し出でて 夕つ方ぞありける
06076/難易度:☆☆☆
かしこ/に/は ふみ/を/だに/と いとほしく/おぼし/いで/て ゆふつかた/ぞ/あり/ける
あちらにはせめて手紙だけでもと、申し訳なく思い出しになり、なんと夕方になってお遣わしになるのだった。
かしこには 文をだにと いとほしく思し出でて 夕つ方ぞありける
大構造と係り受け
古語探訪
かしこ 06076
末摘花のもと。
文 06076
情交を初めて交わした後だから、後朝(きぬぎぬ)の歌を詠んだ手紙。
だに 06076
最低限~だけでも。
いとほしく 06076
責任を感じること。
夕つ方 06076
後朝の歌は、遅くとも昼までに届ける決まり。
ぞ 06076
後朝の歌が遅い事に対する、話者の非難・驚きが込められている。
ける 06076
この段は前々段同様、「けり」が目立つ。前段で、すでにこの日の光の行動を述べたので、同じ日の末摘花の様子を語る際に、すでにこの日が終わった時点で、物語が語られているのである。