しかまかではべるま 末摘花06章03

2021-05-12

原文 読み 意味

しか まかではべるままなり 朱雀院の行幸 今日なむ 楽人 舞人定めらるべきよし 昨夜うけたまはりしを 大臣にも伝へ申さむとてなむ まかではべる やがて帰り参りぬべうはべり と いそがしげなれば さらば もろともに とて 御粥 強飯召して 客人にも参りたまひて 引き続けたれど 一つにたてまつりて なほ いとねぶたげなり と とがめ出でつつ 隠いたまふこと多かり とぞ 恨みきこえたまふ

06074/難易度:☆☆☆

しか まかで/はべる/まま/なり すざくゐん/の/ぎやうがう けふ/なむ がくにん まひびと/さだめ/らる/べき/よし よべ/うけたまはり/し/を おとど/に/も/つたへ/まうさ/む/とて/なむ まかで/はべる やがて/かへり/まゐり/ぬ/べう/はべり と いそがしげ/なれ/ば さらば もろともに とて おほむ-かゆ こはいひ/めし/て まらうと/に/も/まゐり/たまひ/て ひきつづけ/たれ/ど ひとつ/に/たてまつり/て なほ いと/ねぶたげ/なり と とがめ/いで/つつ かくい/たまふ/こと/おほかり と/ぞ うらみ/きこエ/たまふ

「ええ、退出した足でそのまま。朱雀院の行幸の件で、今日、楽人や舞人が決定するとの旨、昨夜承りましたのを、大臣にもお伝え申そうと思って退出して来たのです。宮中へ取って返すことになるのですが」と、あわただしそうにしているので、「それなら、ご一緒に」と、お粥やおこわを召し上がり、客人にもお勧めになって、車は二両連ねていらっしゃるが、一つの車にお乗りになって、「やはりどうも眠たげだな」と頭中将はとがめ立てては、「お隠しごとが多いのですね」と恨み言を申し上げになる。

しか まかではべるままなり 朱雀院の行幸 今日なむ 楽人 舞人定めらるべきよし 昨夜うけたまはりしを 大臣にも伝へ申さむとてなむ まかではべる やがて帰り参りぬべうはべり と いそがしげなれば さらば もろともに とて 御粥 強飯召して 客人にも参りたまひて 引き続けたれど 一つにたてまつりて なほ いとねぶたげなり と とがめ出でつつ 隠いたまふこと多かり とぞ 恨みきこえたまふ

大構造と係り受け

古語探訪

御粥 06074

米を炊いたもので、今のご飯より水分がずっと多く、今の粥に近い。

強飯 06074

米を蒸したもので、今のおこわに当たる。

隠いたまふこと多かり 06074

わたしに隠れていいことをしようたって、ばればれですよとの意味であろう。

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