二条院におはしてう 末摘花06章01
目次
原文 読み 意味
二条院におはして うち臥したまひても なほ思ふにかなひがたき世にこそ と 思しつづけて 軽らかならぬ人の御ほどを 心苦しとぞ思しける
06072/難易度:☆☆☆
にでうのゐん/に/おはし/て うち-ふし/たまひ/て/も なほ/おもふ/に/かなひ/がたき/よ/に/こそ/と おぼし/つtづけ/て かるらか/なら/ぬ/ひと/の/おほむ-ほど/を こころぐるし/と/ぞ/おぼし/ける
君は二条院に戻られ、横におなりになっても、やはり望み通りにはゆきかねる世の中だなと思い続けになり、軽々しくないご身分がいたわしいとお感じであった。
二条院におはして うち臥したまひても なほ思ふにかなひがたき世にこそ と 思しつづけて 軽らかならぬ人の御ほどを 心苦しとぞ思しける
大構造と係り受け
古語探訪
二条院 06072
光の自邸。
なほ 06072
諸注の通り「かなひがたき」にかけて、光の心内語とする。戻ってもなおの意味で、「思しつづけ」にかけることも可能ではある。
思ふにかなひがたき世 06072
亡き夕顔の身代わりとして末摘花に近づいたのに、まったく幻滅に終わったことをいう。
軽らかならぬ人の御ほど 06072
末摘花の高い身分。
心苦し 06072
人に対しては気の毒だとか守ってあげたいなどになり、自分に対しては面倒だなどとなる。ある状況に対して胸が痛むが原義。この場合、「心苦し」は相手の身分なのか、自分の思いなのかを考えることになる。相手の身分が軽くないことに対して「心苦し」ではなく、相手の身分が軽くないために自分が「心苦し」と考えるのが自然であろう。次の「思ひ乱れ」という表現はより考え、「心苦し」は気の毒ではなく、胸が痛むの意味であろう。