命婦あなうたてたゆ 末摘花05章19
目次
原文 読み 意味
命婦 あな うたて たゆめたまへる と いとほしければ 知らず顔にて わが方へ往にけり
06067/難易度:☆☆☆
みやうぶ あな うたて たゆめ/たまへ/る/と いとほしけれ/ば しらずがほ/にて わが/かた/へ/いに/けり
命婦は、まあ何てことを、人を油断させておいでとはと、女君に申し訳なく、素知らぬ振りして自室に戻ってしまった。
命婦 あな うたて たゆめたまへる と いとほしければ 知らず顔にて わが方へ往にけり
大構造と係り受け
古語探訪
たゆめ 06067
人の警戒心をゆるめること。光にしてやられたという思いである。
いとほしけれ 06067
末摘花に対し手引きしたことを申し訳なく思う気持ち。
知らず顔 06067
素知らぬ顔でということだが、光と命婦とは男女の関係にあるだろうとは、以前注した通りである。従って、命婦が席を外すには、気を遣い、嫉妬し、光に恥をかかせぬようにし、男のそういう姿を見たくないとの女心など、さまざまな感情が交錯しているのである。
わが方 06067
自室。