人の思ひよらぬこと 末摘花02章22

2021-05-14

原文 読み 意味

人の思ひよらぬことよ と憎む憎む
 里わかぬかげをば見れどゆく月のいるさの山を誰れか尋ぬる
かう慕ひありかば いかにせさせたまはむ と聞こえたまふ

06026/難易度:☆☆☆

ひと/の/おもひよら/ぬ/こと/よ と/にくむ/にくむ
 さと/わか/ぬ/かげ/を/ば/みれ/ど/ゆく/つき/の/いるさのやま/を/たれ/か/たづぬる
かう/したひ/ありか/ば いかに/せ/させ/たまは/む と/きこエ/たまふ

「尾行するなど人の思いつくような行動ではないな」と憎まれ口をたたき、
《どこの里も分け隔てない月の姿ならば見ることはするが 空を渡ってゆく月が入ってゆく先のいるさ山を 尋ねる人があるだろうか》
「こんな風につけまわして歩いたら、どうなさいますか」と申し上げになる。

人の思ひよらぬことよ と憎む憎む
 里わかぬかげをば見れどゆく月のいるさの山を誰れか尋ぬる
かう慕ひありかば いかにせさせたまはむ と聞こえたまふ

大構造と係り受け

古語探訪

人の思ひよらぬこと 06026

人を尾行するなどという卑劣なことは、ふつうは考えつくようなことではないという皮肉。

いるさの山 06026

兵庫県但馬にある入佐山で、入る際(イルサ)をかける。

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