つれなう心強きはた 末摘花01章03
目次
原文 読み 意味
つれなう心強きは たとしへなう情けおくるるまめやかさなど あまりもののほど知らぬやうに さてしも過ぐしはてず 名残なくくづほれて なほなほしき方に定まりなどするもあれば のたまひさしつるも多かりける
06003/難易度:☆☆☆
つれなう/こころづよき/は たとしへなう/なさけ/おくるる/まめやかさ/など あまり/もの/の/ほど/しら/ぬ/やう/に さて/しも/すぐし/はて/ず なごり/なく/くづほれ/て なほなほしき/かた/に/さだまり/など/する/も/あれ/ば のたまひ/さし/つる/も おほかり/ける
冷淡なほどに芯の強い女などでは、まるで違う感じで愛情のない生真面目さなどを示し、あまり人の情理を知らないようであるが、かと言ってそのように一生を送ることなく、心持ちは跡形もなく崩れてしまい、ごくつまらない男のもとへ納まったりすることもあるので、恋をしかけた途中で手を引いた場合も多かった。
つれなう心強きは たとしへなう情けおくるるまめやかさなど あまりもののほど知らぬやうに さてしも過ぐしはてず 名残なくくづほれて なほなほしき方に定まりなどするもあれば のたまひさしつるも多かりける
大構造と係り受け
古語探訪
つれなう 06003
冷淡な。
たとしへなう 06003
二者を比較して全然違うの意味。前段の慎ましき女性とは違いの意味。
情けおくるる 06003
情愛に欠ける。
さてしも 06003
かと言って、そのようには。「さ」は「たとしへなう情けおくるるまめやかさ」を指す。
なほなほしき 06003
普通の、平凡な、つまらない。
のたまひさしつる 06003
言い寄っておきながら、途中で投げ出すこと。