さとにても 里にても 02-008
現在は宮中で一緒だが、普段、左大臣宅(頭中将の実家で、光源氏の嫁の里)でも。内裏のみならず実家でも。
里にても わが方のしつらひまばゆくして 君の出で入りしたまふにうち連れきこえたまひつつ 夜昼学問をも遊びをももろともにして をさをさ立ちおくれず いづくにてもまつはれきこえたまふほどに おのづからかしこまりもえおかず 心のうちに思ふことをも隠しあへずなむ 睦れきこえたまひける
実家においてもまた自分の身の回りのしたくをきらびやかにして光君の出入りなさるのにお伴申しては、昼夜となく学問をも遊びをも一緒にしてなかなか遅れを取らず、どのような場所にでも付き従い申しておいでなので、自然と遠慮もおかれず、心中思うことまでも隠しおおせぬほど仲睦まじくふるまい申し上げておられた。