すきがましきあだびとなり 好きがましきあだ人なり 好きがましき徒人なり 02-007

2021-05-18

光源氏は「さしもあだめき目馴れたるうちつけの好き好きしさなどは好ましからぬ御本性/02-004」とあるので、光と頭中将は女性に対しては正反対の性格が割り当てられている。「好きがましき」は要するに女たらし。「あだ」は「まめ」の反意語、女性に対して不誠実を意味する。何をもって語り手は「すきがましきあだ人」と評するのか、一考を要するであろう。真っ先に浮かぶのは、頭中将が物語る常夏との実話だが、一途とまでいかなくても彼をしも「好きがましきあだ人」というなら、光源氏こそそのチャンピオンであろう。そうであれば、以下に展開される頭中将の女性観に対する評であることがうかがえる。なお、この表現は「世の好き者にて(物よく言ひとほれる)/02-030」と評される左馬頭と対をなす。「物よく言ひとほれる」にかかることからもわかる通り、「世の好き者にて」はやはり左馬頭が語る女性観に対する評である。左馬頭の物語る実話も「好き者」の部類かもしれないが、「世の(世に知られた)」と冠するほどではない。頭中将 左馬頭それぞれいかなる女性観を指してそう評するのかは後述する。


右大臣のいたはりかしづきたまふ住み処は この君もいともの憂くして 好きがましきあだ人なり

右大臣が大事にお育てなさっている四の宮の住いはこの君も光の君同様ひどく煩わしくて、そのうえ好き者の不実な人である。

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