みるめのなさけ 見る目の情け 02-090
うわべのやさしさ。ここの「情け」は風流の意味ではない。「ただうはべばかりの情け/02-018」(頭中将)、「はかなきついでの情け/02-057」(左馬頭)、「うはべの情け/02-064」(頭中将)、「見る目の情け/02-090」(左馬頭)など、すべて同意表現である。本心がそれによって隠されてしまう見せかけ愛情のこと。誠実さなど本心からの愛情とは別である。
はかなきことだにかくこそはべれ まして人の心の時にあたりて気色ばめらむ見る目の情けをば え頼むまじく思うたまへ得てはべる
(左馬頭)ささいな技芸でさえこうなのですから、まして人の心のその場次第で思わせぶりな態度ができる見せかけの思いやりは、信頼できるものでないと思うに至りました、