けしきばめらむ 02-090

2021-01-14D:古典一般に見られる語彙,ばみ・ばむ

本心や本性を外に表すこと。指を喰う女の場合、「もの怨じ」が本心、男になびく性格が本性を覆っている。そのために至らざるところがないような見る目の情けを身につけているのだが、いざとなると本性が剝き出される。本性だから懲らしめたところで直らないのである。この語を思わせぶりな態度と解釈するから、木枯の女と結びつけてしまうのである。「気色ばむ」の「ばむ」は「蝕む・食む」などと同根で、部分的に浸食されることから、結果としてそのような性質を帯びる意味の接尾語となるが、本性をコーティングしているうわべの愛情を内側から浸食してゆく過程が「気色」+「ばむ」で表現されていると考えられる。従って、帯びるのではなく、表れるのだ。


はかなきことだにかくこそはべれ まして人の心の時にあたりて気色ばめらむ見る目の情けをば え頼むまじく思うたまへ得てはべる

(左馬頭)ささいな技芸でさえこうなのですから、まして人の心のその場次第で思わせぶりな態度ができる見せかけの思いやりは、信頼できるものでないと思うに至りました、