あながちにもとめくはへじ あながちに求め加へじ あながちにもとめくはえじ あながちに求め加えじ 02-064
無理に求めたり、身につけさせようとはしない。頭中将の前言「ただひたふるに子めきて柔らかならむ人を、とかくひきつくろひてはなどか見ざらむ。心もとなくとも、直し所ある心地すべし/02-059」の撤回。
あまりのゆゑよし心ばせうち添へたらむをばよろこびに思ひ すこし後れたる方あらむをもあながちに求め加へじ うしろやすくのどけき所だに強くは うはべの情けはおのづからもてつけつべきわざをや
(頭中将)そのほかの生まれや育ち気立てのよさが備わっているならもっけの幸いと思い、すこし至らないところがあろうと無理な要求を加えたりしない。信頼がおけておっとりしたところさえ目立ってあれば、表面的なやさしさなどは自然と身につけてしまえるものですからね。