いとききにくきことおほかり いと聞きにくきこと多かり いとききにくきことおほし いと聞きにくきこと多し いとききにくきことおおかり いとききにくきことおおし 02-031
いくつか解釈が可能な表現である。議論が女性論なので女の身として耳が痛いという解釈。源氏物語を読み聞かせている相手は中宮など上流貴族なので、彼女たちに対する前置き。しかし、そうしたコメントは物語の筋を補足する働きをしていない点で弱い。「いと聞きにくきこと」の主体を議論全体とせず、頭中将の発言に限定すれば、別の解釈が成り立つ。文の流れとしても、前文の「中将待ちとりて」を受けると考える方が自然である。頭中将はがんばって左馬頭に議論をふっかけたが、議論として聞くに耐えるものではなく、まるめこまれてしまった。頭中将と光源氏は年齢的にも女性経験においてもさほど違いがあるわけではない。頭中将には滑稽な役割を割り振られたこと、すでに何度か指摘した。
いと聞きにくきこと多かり
何とも聞いていて呆れてしまう議論が多くございました。