あくるもしらで 明くるも知らで あくるもしらず 明くるも知らず 01-102
「玉すだれあくるも知らで寝しものを夢にも見じと思ひかきけや」(伊勢集)の第二句を指す。宇多天皇が長恨歌屏風絵の作成にあたり、女流歌人の伊勢に玄宗皇帝の立場になって詠ませた歌の一首。夜が明け玉だすきを巻き上げたのも知らずに二人で寝て過ごしたものを、夢の中でも会えなくなる今日の日をかつて予想したであろうか、との歌意である。
朝に起きさせたまふとても 明くるも知らでと思し出づるにも なほ朝政は怠らせたまひぬべかめり
翌朝せっかくお起きになっても、夜の明けるのも知らず寝過ごしたものだと往事を回想なされ、それにつけても、政務はやはり怠っておしまいのご様子。