めもみえはべらぬに 目も見えはべらぬに 目も見え侍らぬに 目も見えはべらず 01-060
以下の母君の会話には、娘を失ったせいで身も心も闇に包まれているとの比喩が頻出する。それは、光の君の成長こそが闇の出口であり希望であるとの思いを重ねているからに他ならない。更衣腹でも帝の子として寵愛してほしい、それこそが母君の帝に伝えたい思いである。
目も見えはべらぬに かくかしこき仰せ言を光にてなむとて 見たまふ
(子を思う悲しみで)目も見えませんが、このように恐れ多い仰せごとを光にしてと、手紙をお読みになる。