そねみたまひしか 嫉みたまひしか 妬みたまひしか 嫉み給ひしか 妬み給ひしか 01-043
本来が中立的立ち場なので、桐壺更衣に対して悪意を抱く必要はないが、帝の政治離れを引き起こす原因となることから快く思っていなかった。これは弘徽殿の女御など、東宮位を争うという身びいきから桐壺を敵視した立ち場とは自ずと違いがある。
もの思ひ知りたまふは 様容貌などのめでたかりしこと 心ばせのなだらかにめやすく憎みがたかりしことなど 今ぞ思し出づる さま悪しき御もてなしゆゑこそ すげなう嫉みたまひしか
ものごとをしっかりと判断なさる女御方は、姿や顔立ちの美しかったこと、気立てが穏やかで欠点がなく憎めなかったことなどを今になって懐かしく思い出しになった。正視に耐えない帝のご寵愛ゆえ心なくそねんだりもされたのだろうか。