あはれとおもひしほどに あはれと思ひしほどに あわれとおもいしほどに あわれと思いしほどに 02-111
当時、まだ愛情があった頃に。「ほど」は程度でもよい。
あはれと思ひしほどに わづらはしげに思ひまとはすけしき見えましかば かくもあくがらさざらまし こよなきとだえおかず さるものにしなして長く見るやうもはべりなまし
いとしさを感じていたあの時分に、うるさいほどすがりつく様子が見て取れていましたら、こんな行方もしれない状態にさせはしなかったでしょうに、ああまでひどい途絶をせずに、妻として立派な待遇を与えて末長く世話をする方途もあったでしょうに。