思ひきこえたり 思いきこえたり おもひきこえたり おもいきこえたり 02-119
主体は明示されていないが、敬語がないことから光源氏付きの女房と思われる。「あまりうるはしき御ありさまのとけがたく恥かしげに思ひしづまりたまへるをさうざうしくて」は葵の上を見る光源氏、「暑さに乱れたまへる御ありさまを見るかひありと思ひきこえたり」は葵の上を見る光源氏を見る女房という入れ子構造になっている。
中納言の君 中務などやうの おしなべたらぬ若人どもに 戯れ言などのたまひつつ 暑さに乱れたまへる御ありさまを 見るかひありと思ひきこえたり
中納言の君や中務などといった人並みすぐれた若女房たちにお戯れごとをおっしゃりながら暑さで着付けを乱していらっしゃる御有様を、女房たちはうっとりする思いで見とれ申し上げている。