わがふたつのみちうたふをきけ わが両つの途歌ふを聴け わがふたつのみちうたうをきけ わが両つの途歌うを聴け 02-114
『白氏文集』「秦中吟」の「議婚」中の句「聴我歌両途」。今まさに、綺羅を着飾った十六歳の金持ちの娘が嫁ごうとしている。その家の納屋には二十歳の貧しい娘が良縁に恵まれずに住んでいる。酒樽が置かれ、祝宴にかけつけた人々になみなみと酒が注がれた。そこまでが「議婚」の前置きで、ここからが詩の本題。
四座且勿飲(四座しばらく飲むなかれ)、聴我歌両途(我が両つの途を歌ふ聴け)、
富家女易嫁(富家のむすめは嫁し易し)、嫁早軽其夫(嫁すこと早きもその夫を軽んず)、
貧家女難嫁(貧家のむすめは嫁し難し)、嫁晚孝其姑(嫁すこと遅きもその姑に孝たり)
聞君欲娶婦(聞く君婦を娶らんと欲すと)、娶婦意如何(婦を娶るの意はいかんや)
親聞きつけて 盃持て出でて わが両つの途歌ふを聴けとなむ 聞こえごちはべりしかど をさをさうちとけてもまからず かの親の心を憚りて さすがにかかづらひはべりしほどに
親が聞きつけ杯を持ち出して、「わがふたつの途歌うを聴け」と訥々と諳んじになるのが聞こえて参りましたが、ろくすっぽ打ち解けた気分で出かけてもゆかず、親の心情を気遣ってさすがによしみは絶やさずいましたうちには、