さかづき 盃 さかずき 02-114

2021-06-06

婚礼の宴。博士家という固い家柄なので、娘がたくさんいても良縁に恵まれなかったのであろう。親が積極的に乗り出すわけだが、素直には飲ませてもらえない。そこは博士家の娘を娶ろうというのだから試験がある。


親聞きつけて 盃持て出でて わが両つの途歌ふを聴けとなむ 聞こえごちはべりしかど をさをさうちとけてもまからず かの親の心を憚りて さすがにかかづらひはべりしほどに

親が聞きつけ杯を持ち出して、「わがふたつの途歌うを聴け」と訥々と諳んじになるのが聞こえて参りましたが、ろくすっぽ打ち解けた気分で出かけてもゆかず、親の心情を気遣ってさすがによしみは絶やさずいましたうちには、

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