ねざめのかたらひ 寝覚の語らひ ねざめのかたらい 寝覚の語らい 02-114
「語らひ」は情を交わす、むつびあう。起き抜けでまだ寝具を羽織って、ぼんやり夕べの情事を思い出しながら愛を語りあう、そういう時にも。
いとあはれに思ひ後見 寝覚の語らひにも 身の才つき 朝廷に仕うまつるべき道々しきことを教へて いときよげに消息文にも仮名といふもの書きまぜず むべむべしく言ひまはしはべるに おのづからえまかり絶えで その者を師としてなむ わづかなる腰折文作ることなど習ひはべりしかば
女がたいそう愛情深く世話をしますこと、寝覚めの床での睦言にも身に教養が備わるような話や朝廷にお仕えする上で心得るべき専門的な教学を教えるし、じつに清廉な筆遣いで寄越す消息文にも女文字など一字もまぜず理路整然とした言葉遣いをいたしますので、おのずと通うことも絶えないで、その者を師として下手な漢詩文を作ることを習い覚えましたゆえ、