そぞろさむくや そぞろ寒くや 02-098
(今夜の雪景色は)ぞっとするほど見事ではないか。同じ意味で「さるいみじき姿に、菊の色々移ろひ、えならぬをかざして、今日はまたなき手を尽くしたる入綾(いりあや)のほど、そぞろ寒く、この世のことともおぼえず 紅葉賀@」と使われる。もちろん信じられないくらい寒いのではとも解釈できるが、肯定的意味合いでなければ家路と考える必然性がない。
内裏わたりの旅寝すさまじかるべく 気色ばめるあたりはそぞろ寒くや と思ひたまへられしかば いかが思へると 気色も見がてら 雪をうち払ひつつ
宮中の仮寝は心も寒々と思われようし、すぐに激情する女のあたりはさぞや見所があろうと思えましたので、今夜の雪をどう思っているだろうかと一面の銀世界を満喫しがてら雪を払いつつ行きますと、