聞こえさせつる きこえさせつる 02-094
聞き手の耳にすでにお入れした。謙譲語。最後には妻選びの条件から外す(/02062)ことになるが、頭中将が容貌を始終気にしていたのに対して、左馬頭は最初から容貌を求めていなかった。しかし、すでに耳に入れたという表現と直接関わる言葉は見出せない。
聞こえさせつるやうに 容貌などいとまほにもはべらざりしかば 若きほどの好き心には この人をとまりにとも思ひとどめはべらず
最前申しあげましたとおり、容貌など特に優れてもおりませんでしたので、若い時分の好き心にはこの女を生涯の伴侶にとはまだ思い決めておりませんで、