たのもしげなきうたがひ 頼もしげなき疑ひ たのもしげなきうたがい 頼もしげなき疑い 02-080
浮気との解釈があるが、そうではなく、生涯の伴侶としてふさわしくないのではないかとの疑いを意味する。葵の上に対して光源氏が生涯を託すに足る相手ではないと感じていることを、兄である頭中将は察してこう言っている。しかし、ここは頭中将の思いを離れ、言葉をそのまま受け止めると、紫の上以下、光源氏が愛情を注ぐすべての女性たちにすべて成り立つ話である。女四の宮は、消極的ながら柏木との間違いを犯すことになるし、紫の上も薫の君から好奇なまなざしを浴びている。やはりこれも、「(言=事)構造」になっている。
さしあたりて をかしともあはれとも心に入らむ人の 頼もしげなき疑ひあらむこそ 大事なるべけれ
(頭中将)実際のところきれいだの愛しいだのと気に入っている女に生涯を託すに足りぬ疑いがあればそれこそ一大事でしょうが、