かみがかみ 上が上 02-046

2021-05-21

「なにがしが及ぶべきほどならねば、上が上はうちおきはべりぬ/02-040」を意識した表現。左馬頭が論評の対象にならないと匙を投げたまさにその対象が光源氏が女性であった場合であり、藤壺の存在を想起させる。


白き御衣どものなよらかなるに 直衣ばかりをしどけなく着なしたまひて 紐などもうち捨てて 添ひ臥したまへる御火影いとめでたく 女にて見たてまつらまほし この御ためには 上が上を選り出でてもなほ飽くまじく見えたまふ

白い肌着なんかの柔らかに仕立てたのに、直衣だけをしどけなくお召しになって、紐なども結ばず垂らしたまま、脇息に寄りかかり臥せておられる火影姿は、とても見事で、女の身で拝見したいものだ。この君のためには上の上を選んだとしてもなお物足りなくお見受けされる。

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