わがいもうとどものよろしききこえあるをおもひてのたまふにや 02-044

2021-01-13

左馬頭の女性論の中で、「世にありと人に知られず…さる方にて捨てがたきものをは/02-041~02-044」は唯一好色めいたものであり、その好色性をもって妹を見られたくないという藤式部丞の心理が働いたのがこの箇所。左馬頭によって夕顔階級の女性の魅力が暗示され、藤式部丞の心の揺れによってその存在感が実体化され、これらを前置きにして、頭中将がいよいよ夕顔について語り出す。だが、光源氏はさして興味を示していない。興味を示していないからこそ、深層心理に深く刻まれて行くのだと思う。光源氏の意図しないところで、語り起こされ運命に引き込まれて行くところに物語りのダイナミズムがあるのだ。


すぐれて疵なき方の選びにこそ及ばざらめ さる方にて捨てがたきものをは とて式部を見やれば わが妹どものよろしき聞こえあるを思ひてのたまふにやとや心得らむ ものも言はず

(左馬頭)特に瑕ひとつない女性をえらぶには及びはしなかろうが、これはこれで捨てがたいものではないか、と言って式部を見やると、自分の姉妹たちがなかなか評判高いのを念頭にしてお言いかと受け取っているらしい、ものも言わない。

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