そのかたをとりいでむえらび その方を取り出でむ選び えらぶ 選ぶ 02-018

2021-05-19

手紙の上手な人を決める選択と解釈されているが、ナンセンスである。頭中将の発言のテーマは、(妻として)非の打ち所のない女は探してもいないというもの。手紙の名手を探しているのではない。いくら手紙がうまくったって、うわべの愛情から出たものは信用ができないとの意味である。


ただうはべばかりの情けに手走り書き をりふしの答へ心得てうちしなどばかりは 随分によろしきも多かりと見たまふれど そもまことにその方を取り出でむ選びに かならず漏るまじきは いと難しや

(頭中将)ただうわべばかりの愛情からさらさらと文字を書きちらし、時節に応じた応答のこつを心得てさっと返書をしたためるぐらいのことは、そこそこできる女も多いように見えますが、そもまことに妻選びの候補として決して漏れるおそれのない女性は先ずもっていないものですよ。

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