わがかたのしつらひ わが方のしつらひ わがかたのしつらい わが方のしつらい しつらふ しつらう 02-008
諸注「自分の部屋の飾り立て」と解釈する。「しつらひ」は一般に室内の設備配置の意味ではあるが、ここは「しつらふ」の名詞化であり、調えることとの意味。「葵」の帖に「御装束たてまつり替へて、西の対に渡りたまへり。衣更えの御しつらひ、くもりなくあざやかに見えて @」とある。服装に対するしつらえである。「しつらひまばゆくして」は「うち連れきこえたまひ」にかかる。「君の出で入りしたまふ」にかけない。左大臣が娘婿である光源氏に対して「よろづの御よそひ何くれとめづらしきさまに」調えたことの向うを張っているのだ。光源氏の「よそひ」に対して、頭中将は「しつらひ」とする。後者にはやや意識的なニュアンスがある。頭中将の光源氏に対する対抗意識が感じられる語である。
里にても わが方のしつらひまばゆくして 君の出で入りしたまふにうち連れきこえたまひつつ 夜昼学問をも遊びをももろともにして をさをさ立ちおくれず いづくにてもまつはれきこえたまふほどに おのづからかしこまりもえおかず 心のうちに思ふことをも隠しあへずなむ 睦れきこえたまひける
実家においてもまた自分の身の回りのしたくをきらびやかにして光君の出入りなさるのにお伴申しては、昼夜となく学問をも遊びをも一緒にしてなかなか遅れを取らず、どのような場所にでも付き従い申しておいでなので、自然と遠慮もおかれず、心中思うことまでも隠しおおせぬほど仲睦まじくふるまい申し上げておられた。