さるは 然るは 02-002
実際には。同時代人から咎を責められ、後世からは軽率の誹りを受けるであろうが、その実際は。前文で、もの言いさがない人が語り伝えたという「忍びたまひける隠ろへごと/02-001」に対して、「その実は」の意味。
さるは いといたく世を憚り まめだちたまひけるほど なよびかにをかしきことはなくて 交野少将には笑はれたまひけむかし
その実はもう、ひどく世間の目を気にかけ、気まじめそうにしていらっしゃるほどといっては、婀娜めいた艶話はなくて、恋の達人交野の少将には笑われておしまいだったでしょう。