いまはをさなきおんほどに 今は幼き御ほどに 幼し おさなし をさなし 01-176

2021-06-11

「幼きほどの心一つにかかりて/01-173」では語り手は「御」をつけていない。ここは左大臣の心中語で御になっていると考えるのがよい。元服を済ませた後、帝は大人になったので御簾の内にも入れないのに、婿取りをし盛大に婚儀を挙げながら、「幼き御ほど」は矛盾した表現である。ここには、婿が娘を抱かないことに対する親としてのこじつけが「幼き」と言わせるのだろう。


五六日さぶらひたまひて 大殿に二三日など絶え絶えにまかでたまへど ただ 今は幼き御ほどに罪なく思しなして いとなみかしづききこえたまふ

五六日宮中にお仕えされて、大臣邸には二三日いるなど絶え絶えのおいでではあるけれど、ただ今は年端もゆかぬからと悪る気なくお取りになって、甲斐甲斐しくお世話申し上げになる。

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