うちにもみけしきたまはらせたまへりけれ 内裏にも御けしき賜はらせたまへりけれ うちにもみけしきたまわらせたまえりけれ 内裏にも御けしき賜わらせたまえりけれ 01-154

2021-05-16

「御けしき」は帝の承諾。「賜はらせたまへ」は「賜う」(帝が臣下に与えるの尊敬語)+「る」(受身)+「す」(使役)+「たまふ」(使役を働きかけた者への敬意)。帝から内諾を与えてもらえるように、右大臣が働きかけをなさったとの意味。東宮からの入内の希望を断り、光源氏に娘をやるとなると、帝の承諾が必要であろう。確かな後見のいない光源氏を心配していた帝にしても、それは渡りに船であった。光の君を私物として東宮にもまして愛情を注いで来られた帝のご様子を見てきた左大臣にしても、帝の心配を察しとっていたに違いない。両者の思惑は一致していたのである。


内裏にも御けしき賜はらせたまへりければ さらばこの折の後見なかめるを 添ひ臥しにもと もよほさせたまひければ さ思したり

帝へもご内諾を賜れるように画策なさっておられ、ならばこの折りの後見もないようだから、添臥にでも、とお促しになったので、その心づもりで今日を迎えた。その心づもりで今日を迎えた。

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