こころくるしげなる 心苦しげなる こころくるしげなり 心苦しげなり 01-149

2021-05-16

若宮が帝の目には気の毒に見えた。「心苦し」は相手の立ち場を思って居たたまれなくなる見る側の感情。どうして髪を削ぐことが気の毒になるのか。それは桐壺との約束である、東宮にしてやることもできず、皇籍からも外して一世源氏にすることになり、桐壺の申し訳なくなったからである。そうした背景を思い浮かべないと、何をまた帝はめそめそしているのかという不理解が生じる。大蔵卿が苦しそうにしているという解釈は論外。


いと清らなる御髪を削ぐほど 心苦しげなるを 主上は 御息所の見ましかば と思し出づるに 堪へがたきを 心強く念じかへさせたまふ

とてもきれいに揃った御髪を剃ぐあいだ若宮が不憫でならなくおなりなのを、帝は御息所が見ていたらと 思い出すにつけ耐え難くなられたのを気強くこらえて持ち直された。

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