よそへきこえつべき 他所へ聞こえつべき きこえつべし 聞こえつべし きこゆ 聞こゆ 01-138

2021-05-16

「よそふ」対象に敬意が向くので、藤壺の宮を桐壺更衣に比べる、似ていると考える、見立てる。通例主体を帝とするが、直後の「らうたくしたまへ」とのつながりから、光源氏ととるのがよさそうだ。敬語がないので、どちらでも解釈は可能である。


主上も限りなき御思ひどちにて な疎みたまひそ あやしくよそへきこえつべき心地なむする なめしと思さでらうたくしたまへ つらつきまみなどはいとよう似たりしゆゑ かよひて見えたまふも似げなからずなむ など聞こえつけたまへれば 幼心地にも はかなき花紅葉につけても 心ざしを見えたてまつる

帝にしても限りなく愛しい同士の二人なので、疎んではなりませんよ。あの子は不思議と母になぞらえたい気持ちでいるのです。無礼だとお思いにならずかわいがってあげなさい。顔立ちまなざしなど母はとてもよく似ていたので、あなたが母に見えるのも無理からぬことでなど、藤壺の宮にお頼み申し上げておられたので、幼な心にも桜や紅葉などちょっとした機会にこと寄せお慕いしているお気持ちをお示し申しあげるのでした。

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