おほやけよりも 朝廷よりも おおやけよりも 01-124
右大弁の子のつくった漢詩が上手く、異国の使者から贈り物をもらったからといって、朝廷が公に返礼するのは度を越している。その不自然さが話題を呼び、光源氏と高麗の使者との密会が世の知れるところとなったのであろう。しかし、これはあくまで右大弁の子についての将来の見立てであり、天皇候補の将来を他国の使者に占わせるわけにはいかない。そんなことをすれば、弱点を知られ攻め入られることにもなろう。
朝廷よりも多くの物賜はす おのづから事広ごりて 漏らさせたまはねど 春宮の祖父大臣など いかなることにかと 思し疑ひてなむありける
朝廷からも多くの品物が高麗人に下賜された。おのずとこのことは世間に広がって、帝は何もお漏らしにならないのに、東宮の祖父の大臣などは何を企んでおいでかと東宮の身を危ぶんでおいででした。