うたて うたてし 01-118
物事がどんどん進んでいくことについて行けない感覚。読者が引いてしまうだろうとの弁明。相人が光源氏の将来を危ぶむ時に、なぜだろうと読者が驚きを感じるためにも、ここは光源氏の万能ぶりをアピールしておきたいという文脈上の要請がある。それにしても大袈裟だなと感じてしまう。
わざとの御学問はさるものにて 琴笛の音にも雲居を響かし すべて言ひ続けばことごとしううたてぞなりぬべき人の 御さまなりける
漢詩文など正式な学問はもとより、琴や笛の音色でも評判は宮中に響き渡り、美点をすべて並べつづけると仰々しく疎ましく思えてしまうそんなご様子でした。