なげく 嘆く 01-103
「陪膳にさぶらふ限り…嘆く/01-103」「すべて近うさぶらふ限り…嘆く/01-104」「(主体明記せず)…嘆く/01-105」と三度繰り返される。二度目までは帝の前で奉仕している場合、三度目は主体が明記されないが、おそらく前二者が陰にわまった場合であり、帝への批判を伴った嘆きとなる。三度繰り返すのは昔語りの手法と説明されることがあるが、ここは帝の面前と陰口との対比が重要であろう。
ものなども聞こし召さず 朝餉のけしきばかり触れさせたまひて 大床子の御膳などはいと遥かに思し召したれば 陪膳にさぶらふ限りは 心苦しき御気色を見たてまつり嘆く
食事などもお召し上がりにならず、朝粥は形ばかり箸をおつけになって、昼のお膳などとうてい手が出ないとお思いなので、給仕の者はお仕えしている間はつらそうなご様子をお見受けして嘆く。