かなはざりけるいのちのほど 01-094

2021-01-11

桐壺更衣の歌と言葉「いかまほしきは命なりけり、いとかく思ひたまへましかば/01-031」を受ける。
帝と桐壺更衣の悲恋は、源氏物語の表現からも玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋と重なり合う部分は多い。しかし、明らかに重ならない部分もある。それは、楊貴妃は玄宗皇帝の目の前で臣下の手で殺される。天地が尽きても、その恨みは尽きないと長恨歌の最終詩句に表現され、最も印象深い表現となっている。それに対して帝は恨みを感じている様子が描かれていない。更衣の死が病気であり、寿命ということになれば、誰を恨むこともできない。しかし、そうでない風であることも示唆されている。この点をどうとらえるか、源氏物語全体の読みに関わる問題であろう。


朝夕の言種に 翼をならべ 枝を交はさむ と契らせたまひしに かなはざりける命のほどぞ 尽きせず恨めしき

朝な夕な口癖のように、翼をならべ枝を交し合おうと、比翼連理を約束なされたが、かなわなかった命のほどが尽きせず恨めしい。

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