たいえきのふようびあうのやなぎもげにかよひたりしかたちを 01-093

2021-01-11

長恨歌の次の「大液芙蓉未央柳、芙蓉如面柳如眉」を受ける。長恨歌の詩句にある通り、大液池の芙蓉や未央宮の柳は、なるほど楊貴妃の顔立ちに通じるところがある。前文で説いたように似せ絵には限界ある(「絵に描ける楊貴妃の容貌は、いみじき絵師といへども筆限りあり/01-092」)が、自然が持つ美は本物なので楊貴妃を思い出すよすがになる点で優れている。


大液芙蓉未央柳も げに通ひたりし容貌を 唐めいたる装ひはうるはしうこそありけめ なつかしうらうたげなりしを思し出づるに 花鳥の色にも音にも よそふべき方ぞなき

太液池の芙蓉や未央宮の柳も、詩にいう通り楊貴妃の顔立ちを彷彿とさせるものの、唐風に装うのでは整った美を呈しこそすれ、親しみやすく愛らしかったあの方の姿や声を思い出しになられるにつけ、花の色や鳥の鳴き声に、なぞらえ得る所は見つからないのでした。

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