けり ける けれ 01-087

2021-04-19

過去からずっと今にという感覚だが、その長さ、持続が詠嘆的ニュアンスをもたらす。


いとかうしも見えじと思し静むれど さらにえ忍びあへさせたまはず 御覧じ初めし年月のことさへかき集め よろづに思し続けられて 時の間もおぼつかなかりしを かくても月日は経にけり とあさましう思し召さる

帝は人からそんな風には見られまいと気持ちを静めようとなさるが、少しも我慢おできにならず、あの方と初めて契りを交わした日まで遡り、ありとあらゆる追想に耽られて、往事は束の間もいたたまれなかったが、それでも月日は過ぎ行くものかと、我が身ながらあきれてしまわれるのでした。

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