おもひきこえたまひ おもいきこえたまい 思ひきこえたまひ 思いきこえたまい 思ひ聞こえ給ひ 思い聞こえ給い 01-080
思ひ+謙譲語「きこえ」+尊敬語「たまひ」。母君に尊敬語が扱われているので、ここは地の文。「うしろめたう」までが会話を直説法で表している。
かく忌ま忌ましき身の添ひたてまつらむも いと人聞き憂かるべし また見たてまつらでしばしもあらむは いとうしろめたう思ひきこえたまひて すがすがともえ参らせたてまつりたまはぬなりけり
このように不吉な身が付き添い申すのもまことに世間での通りが悪かろうし、と言ってお顔を拝み申さずしばしもいるなど全く気が気ではなかろうと、ご案じ申し上げて、すんなりとは参内させてお上げにはなりませんでした。