いとさうざうしくうへのおほむありさまなどおもひいできこゆれば いとそうぞうしくうへのおんありさまなどおもいいできこゆれば いとさうざうしく主上の御ありさまなど思ひ出できこゆれば いとそうぞうしく主上の御ありさまなど思い出できこゆれば 01-079

2021-04-13

「さうざうし」はあるはずのものがなくなった喪失感からくる寂しさ、索漠とした感覚。「いとさうざうしく思ひ出できこゆれ」(形容詞の連用形+思ふ)は思い出す内容が「さうざうし」。帝のご権勢や内裏の華々しさなど、それらから離れていることがいかに寂しいことかを若宮の脳裏にふきこむ。「きこゆれ」は謙譲の意味を添える補助動詞。


若き人びと 悲しきことはさらにも言はず 内裏わたりを朝夕にならひていとさうざうしく 主上の御ありさまなど思ひ出できこゆれば とく参りたまはむことをそそのかしきこゆれど

宮中から従い来た若い女房たちは、悲しいことは言うまでもないが、宮廷生活が朝な夕なに身にしみついているために、鄙びた暮らしがとても寂しく、帝のご様子などを思い出しては、参内なさるよう宮にお勧め申し上げるが、

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