はかばかしう はかばかしく はかばかし 01-059
物事がはきはき進む形容。
若宮のいとおぼつかなく 露けき中に過ぐしたまふも 心苦しう思さるるを とく参りたまへなど はかばかしうものたまはせやらず むせかへらせたまひつつ かつは人も心弱く見たてまつるらむと 思しつつまぬにしもあらぬ御気色の心苦しさに 承り果てぬやうにてなむ まかではべりぬるとて 御文奉る
若宮が何とも気がかりなまま、露深い里で泣きぬれてお過ごしになるのも、おいたわしくお思いですのに、早くご参内なさいなどと、はっきり口になさりもせず、むせ返ってしまわれながら、方や心弱い帝だと人も見ることだろうねと、はた目が気にならぬでもないご様子がお気の毒で、承り果てぬまままかり越した次第ですと、帝のお手紙をお渡しする。