を(終助詞) 01-037

2021-04-13

語り手の思い入れ。文を切らずに「言ふかひなし」につなげることもできる。その場合は目的格の格助詞。


何事かあらむとも思したらず さぶらふ人びとの泣きまどひ 主上も御涙のひまなく流れおはしますを あやしと見たてまつりたまへるを よろしきことにだにかかる別れの悲しからぬはなきわざなるを ましてあはれに言ふかひなし

何が起ころうとしているのかもお分かりでなく、側仕えの人々が泣きまどう姿や帝が涙の干る間もなく泣いておられご様子を理解もならず見守っておいでのご様子を、栄転などよい理由であっても母を亡くした父子が離れ離れになるのは悲しい重大事であるのに、まして父である帝のもとを離れ東宮資格を失いかねない里下がりとあっては哀れで言い表す言葉が見つかりませんでした。

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