おぼつかなさ 覚束なさ おぼつかなし 覚束なし 01-027
「おぼろ」の「おぼ」ではっきりしないを原義とする語。一緒にいない、距離があくなどから生じる、つかめなさ、見通しのなさ。この文脈で考えると、この先の病状がどうなるか見通せないことからくる不安である。死が優勢を占めるなら、絶望はするにしても不明さはなくなる。この語からも、死はまだ十分に意識されているとは言えないことがわかる。
限りあれば さのみもえ留めさせたまはず 御覧じだに送らぬおぼつかなさを 言ふ方なく思ほさる
決まりがあることなので、そう留め置くこともおできになれず、帝は病状を見届けてやれないもどかしさを言葉にできぬほどつらくお悔やみにでした。