はかなきここちにわづらひ はかなきここちにわずらい はかなき心地に患ひ はかなき心地に患い はかなきここちにわづらふ はかなきここちにわずらう はかなき心地に患ふ はかなき心地に患う 01-024

2021-04-13

ちょっとした病気を得てと解釈されるが、ちょっとした病気で宮廷を後にするとは考えにくいし、間もなく亡くなるのも理に合わない。心地の意味として確かに辞書には病気とあるが、病気の時の心持と考える方が適切である。それまでの長患いでは感じなかった死の不安を、はっきりと感じたから里帰りを決断したのである。宮中で死を迎えることは、忌避されていたからである。「はかなき」は「はかなくなる」(死ぬ)の婉曲表現。


その年の夏 御息所はかなき心地にわづらひて まかでなむとしたまふを 暇さらに許させたまはず

その年の夏、御息所は死を予感するほどに病んで里に下がろうとなさるが、帝はいっこうに暇を与えようとなさらない。

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